◆◆◆メールマガジン「事業用自動車安全通信」第579号(R2.11.6)◆◆◆
=はじめに=
このメールマガジンは、国土交通省において収集した事業用自動車に関する事故情報等のうち重大なものについて、皆様に情報提供することにより、その内容を他山の石として各運送事業者における事故防止の取り組みに活用していただくことを目的として配信しています。
また、自動車運送事業等における安全・安心確保に関する最近の情報等についてもトピックとして提供していますので、ご活用ください。
=目 次=
1.重大事故等情報=3件(10月30日~11月5日分)
(1)乗合バスの転落事故
(2)乗合バスの死傷事故
(3)法人タクシーの衝突事故
2.トピック
(1)事故ゼロを目指して!大型車の車輪脱落事故防止キャンペーンを実施
(2)自動車事故対策費補助金の申請受付を開始
(3)大型貸切バスの車内換気の可視化実験について
(4)バスの交差点での死亡事故を踏まえた事業用自動車の安全確保の徹底について
(5)観光バス及び路線バスの車内換気能力
(6)事業用自動車の運転者に対する飲酒運転の防止等法令遵守の徹底について(再要請)
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1.重大事故等情報=3件(10月30日~11月5日分)
(1)乗合バスの転落事故
11月3日(火)午後2時57分頃、青森県の県道において、県内に営業所を置く乗合バスが空車にて運行中、大型トラックとすれ違う際に、道路左側に寄りすぎてしまい、慌ててハンドルを右側に切ったところ、道路右側の路外に逸脱し、緩やかな斜面を滑り落ち停止した。
この事故による負傷者はなし。
(2)乗合バスの死傷事故
11月5日(木)午後5時27分頃、東京都の市道において、都内に営業所を置く乗合バスが乗客2名を乗せ運行中、バス停で乗降扱い後に発車したところ、当該バスの直前を横断していた歩行者をはねた。
この事故により、当該歩行者が死亡した。
(3)法人タクシーの衝突事故
11月5日(木)午後4時40分頃、東京都の区道の踏切内において、都内に営業所を置く法人タクシーが空車で運行中、右側から進行してきた路面電車と衝突した。
この事故による負傷者はなし。
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上記3件の死傷者数計:死亡1名、重傷0名、軽傷0名(速報値)
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2.トピック
(1)事故ゼロを目指して!大型車の車輪脱落事故防止キャンペーンを実施
(配信日:R2.10.30)
大型車のホイール・ボルト折損等による車輪脱落事故が増加している状況を踏まえ、令和2年11月1日から「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施します。
1.令和元年度の大型車※の車輪脱落事故の発生状況
※大型車とは、車両総重量8トン以上のトラック又は乗車定員30人以上のバス
・発生件数は112件(昨年比31件増加)
・冬期(10月~2月)に多く発生
・特に東北地区で多く発生
・車輪脱着作業後1ヶ月以内に多く発生
・タイヤ交換作業が集中する11月に交換した車両の事故が多い
・車輪脱落箇所は左後輪に集中
2.大型車の車輪脱落事故防止キャンペーンの実施
国土交通省では、昨年12月に「大型車の車輪脱落事故防止対策に関する調査検討ワーキンググループ」(座長:交通安全環境研究所伊藤紳一郎副部長)を設置し、事故原因の徹底究明と効果的な事故防止対策の検討を行ってきたところ、令和2年10月16日に中間とりまとめが決定されました。
国土交通省では、この中間とりまとめの決定を受けて、「令和2年度緊急対策」の早期かつ確実な実施を図るため、関係業界の協力のもと、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施します。
【実施期間】令和2年11月1日~令和3年2月28日
【主な実施項目】
・運送事業者等に対する事故防止対策の周知・指導
・運送事業者による大型車の「ホイール・ナットの緩み」の総点検実施
・貨物運送事業者では、タイヤ交換時の作業管理表を使用した正しいタイヤ交換作業実施
・トラックのホイール・ナットへのマーキング等の活用を推進し、日常点検での
ホイール・ナットの緩みの点検を重点的に実施
※詳細については、下記リンク先をご覧ください。
→ https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000261.html
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(2)自動車事故対策費補助金の申請受付を開始
(配信日:R2.10.30)
国土交通省では、自動車運送事業における交通事故防止の観点から、先進安全自動車(ASV)や運行管理の高度化に資する機器の導入等の取組を支援するため、要件を満たした事業者に対して自動車事故対策費補助金を交付する事故防止対策支援推進事業を実施しており、今般、その補助金の申請受付を以下のとおり開始いたしました。
1.実施する補助事業
(1)先進安全自動車(ASV)の導入に対する支援
(2)運行管理の高度化に対する支援
(3)過労運転防止のための先進的な取組に対する支援
(4)社内安全教育の実施に対する支援
2.補助事業の内容
申請方法、申請受付場所、申請受付期間等につきましては、国土交通省のホームページの以下のページに掲載しています。
先進安全自動車(ASV)の導入に対する支援
→ http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/esc_02.html
運行管理の高度化・過労運転防止・社内安全教育に対する支援
→ http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/jikoboushi.html
3.留意点
申請受付期間中に申請総額が予算額に達する場合は、申請受付期間であっても申請受付を終了致しますのでご注意下さい。
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(3)大型貸切バスの車内換気の可視化実験について
(配信日:R2.9.25)
(独)自動車技術総合機構 交通安全環境研究所では、大型貸切バス車室内の換気状況を調査するため、令和2年9月25日に車室内の空気流動を可視化する実験を行いました。実験では、バス車内をスモークで充満させ、空調機を作動させることにより車内の空気と外気を入れ替えることができる様子を可視化して、窓開けなどをしなくとも優れた換気性能を持っていることが確認されました。
利用者の方々におかれましては、安心して貸切バスをご利用いただければと考えております。また、バス事業者の皆様におかれましては、バスにおける感染予防対策のPRの際に、ぜひこの実験結果も活用いただければと思います。
※詳細については、下記リンク先をご覧下さい。
→ https://www.ntsel.go.jp/news/20200925.html
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(4)バスの交差点での死亡事故を踏まえた事業用自動車の安全確保の徹底について
(配信日:R2.7.31)
本年に入り、バス車両が丁字路を右折する際に、交差点の歩道上を車両左手側から横断する子供と衝突し、子供が死亡する事故が立て続けに生じております。
また、子供がバス車両前方を横断する際の事故が近年数多く発生しています。自動車運送事業者の皆様におかれましては、同種事故の再発を防止するため、運転者に対する指導・監督、点呼等を通じて、次の事項について改めて徹底するようお願い致します。
(1)バス車両は、「死角が大きい」ことから、直前、側方、後方など見えない部分に配慮した運転が必要であることを認識させること。特に、丁字路をはじめとした交差点での右折時に車両左手側から進行する歩行者等に気を配ること。
(2)道路には、歩行者や自転車などが通行しており、それぞれの行動を理解し走行時に配慮することにより、事故を回避できることを認識させること。
(3)歩道側の植え込みなどにより見通しの悪い交差点では、歩行者や自転車が飛び出してくる可能性が高いことから、一時停止または徐行し、注意して走行することが必要であることを認識させること。
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(5)観光バス及び路線バスの車内換気能力
(配信日:R2.6.19)
大型自動車メーカー等の協力のもと、主な観光バス及び路線バスの車内換気能力についてまとめました。
○観光バスの車内換気能力
観光バスは、エアコンの外気導入モードを使用することにより、窓を閉めた状態で5分程度で換気する能力があります。
また、8割以上の車両は窓を開けられる構造であり、利用者が窓を開けて換気することも出来ます。
○路線バスの車内換気能力
路線バスは換気扇を使用することにより、3分程度で換気する能力があります。
※詳細については、下記リンク先をご覧ください。
→ https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/top/data/covid19_info_shyanaikanki.pdf
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(6)事業用自動車の運転者に対する飲酒運転の防止等法令遵守の徹底について(再要請)
(配信日:R2.5.22)
事業用自動車の運転者に対する飲酒運転の防止については、「事業用自動車総合安全プラン2020」において事業用自動車における飲酒運転ゼロを目標に掲げ、様々な取組を実施してきたところです。また、昨年5月にも「事業用自動車の運転者に対する飲酒運転の防止等法令遵守の徹底について」(通達)を発出し、事業者の皆様に、特に以下の事項について周知徹底していただくよう、お願いしてきたところです。
しかしながら、昨年の飲酒運転による事業用自動車の交通事故は56件と、「事業用自動車総合安全プラン2020」を策定した2016年以降で最多となりました。
また、本年は、国土交通省への報告が求められる重大事故が、昨年同時期を上回る13件発生しています(速報ベース)。特に、5月に入り4件の事故が発生しているところです。
自動車運送事業は、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大する中、国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な存在であり、事業者の方々に日々ご尽力いただいているところですが、こうした中で飲酒運転による事故が相次いで発生していることは、運送事業に対する社会の信頼の失墜に繋がる事態であり、誠に遺憾です。
つきましては、「自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル」等を活用し、飲酒運転の防止の徹底について、改めて周知徹底いただくよう、お願いいたします。
運転者に対する指導・監督、点呼等において、以下のことを徹底すること。
(1)飲酒による身体への作用・影響や飲酒運転の危険性等を事例を用いて理解させること。
(2)確実な点呼の実施体制が確保できているか確認し、必要に応じ見直しを行うとともに、点呼時におけるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認を行うこと。
(3)運転者の飲酒状況を把握するとともに、日常的に飲酒する習慣がある運転者に対しては、遠隔地の点呼において確実に酒気帯びの有無を確認できる機器を用いるなどにより管理を行うこと。
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